マフィアの弾丸 Ⅲ





 「____、っなん、なんでも。無い」




 咄嗟に二の句も告げられず唇がひきむすび、答えをさがすように
 動いたのが
 結果、自分の両眼だけだ、なんて。



 どこまでもあまちゃんで、・・・・・情けなく俯くしかできなかった。



 動揺してしまうと人って、どうしてこうも口籠るのか。

 うまい言い訳が、この時分に限ってすっからかんに、忘れてしまうんだから。




 頭の中がパニックになって、真っ白になって、からだのなかの血が沸騰したように、逆流するとなんにも、言えなくなる____…、











 「────…昨日はどこ行ってた、お前」




 一転して後ろから、────…先ほどとはちがう、真剣味を帯びた
 アーウェイさんの、
 確信めいた声調(トーン)に。



 ドクンッ。

 心臓が、嫌なほうに跳ねた。




 ・・・・・ちがう、やっぱり、知ってて聴いてる、
 彼らは。



 眼前にいる、カーフェイさんからの刺さってくる視線すらいまは、重荷(プレッシャー)
 顔を突き合わせることが苦痛。

 私はこころのなかで暴れる、心拍を抑制しながらちいさく、深呼吸をくりかえすと、




 「……ッど、どこって、。昨日、電話したとおり、だけどナンの、はなし、…を」

 「じゃあ質問を変える、」



 ・・・・・質問変えるって、

 さっきから、何っ




 「"船岡ホールディングスの令嬢"、知ってるよな?アイツといたのは何でだ?」



 「____ッ、」


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