マフィアの弾丸 Ⅲ





 「…お前、処女(ヴァージン)のくせに『セフレ』とか言ってンなよ気色ワルぃ」


 「なァ!?!!」

 何が気色わるいだとォ?!



 ____…そう今にも、暴動を起こしかねない少女の、癇癪(かんしゃく)的な姿も
 心底、呆れ返ったように
 淡々で、冷静に言葉をかえすアーウェイには
 なんの痛手もない。

 相も変わらず、
 どこ吹く風である。




 「ッばっ!っっバー……ジン。…じゃ、ない。かもしれない、じゃん。
 ────っイヤ違う!!そんな
 ハナシッじゃない!」



 後ろからはシルバーブルーの美丈夫、
 足下からはグレーブラックの人外レベルな美形、と。

 伊万里からすれば八方塞がりの状態に、
 打ち出した応えがどこまでも、歯切れのワルイこと。



 ────…しかし。


 何かしら反論をしていなければこの、神々しいまでの男たち、

 太刀打ちできない状況なのを良いことに、少女の肌に先ほどから、熱を落とすばかりなのだ。



 男性経験どころか、今時分、伊万里は年齢の数だけ異性とのおつきあい回数が皆無。

 つまるところ、手練れなこの程のような行為を一度たりとて、経験した試しはない。ということになる。



 テンパるのは当然の摂理である。




 「っ、こういうッ…コトする意味が、」

 「イミぃ?意味なかったらしちゃイケねーの」


 「こいっ!びと、……じゃなぃっっ」

 「…なら、恋人ならいいのか」

 「はっ?!!」


 なぜそういう発想になる?!!



 「じゃァーー、わァった。恋人な」

 「断る!!!!」


 「____ンだよ、てめぇが言ったンだぞ『恋人ならイイ』って」

 「『良い』とは言ってない!常識を鑑みてください!!」

 「あァ?父親ちがいの家庭で育ったおれらに常識押し付けてんなよ」



 「こういう時だけ都合の良いように揚げ足取らないでくれませんっっ?!!!?」


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