マフィアの弾丸 Ⅲ





 しかし少女も、こうなって来ると半ばヤケクソ心と、
 そろそろ戻らなくては
 母が出向くかもしれない、といった対立する
 両者の
 危機感に、いよいよ切羽詰まり。


 (この際だ・・・・・)、とモラルも良心も一旦、置いておいて話の纏まりを
 つけない儘。



 伊万里は、
 いまだ顎先に絡みついてくるアーウェイの腕に、両手を引っかけると
 その無骨な指たちを無理やり剥ぎ取っていく。




 「…ち、違ッ……私っっ、のことが重要なんじゃなく、って」


 「あンだよまたその話し蒸し返すのかよ」

 「恋、恋人いるのにっっ」



 「……?

 恋人、誰がだ」



 「、ぃ、…えっ、?えっと……」




 咄嗟に。

 整然と切り返された言葉に口籠った伊万里は。



 想定していた反応と180度ちがったことに、違和感をおぼえる。



 足下でじぶんの(すね)に唇をつけたまま訝しむように問いかけて来る
 カーフェイの、
 心底、疑念めいた声調。

 それは本当に、何も知らない人間がする反応(ソレ)とまるで同じの、




 (・・・・・え?)




 まさか何か自分は。

 とんでも無く勘違いを生んだような発言をしたのではなかろうか?


 少女は────…一瞬、惚けてしまった。


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