ミーコの願い事 始まりの章 「ペンタスとヒトデ」
1
記憶
別れたくない。早く戻ってきてほしい。
私はそのことをペンタスに願います。
夕暮れ時の赤く染まる自宅の部屋で、一通の手紙を読み返していた。
この文書は三年前、彼に渡しそびれた手紙の最後に書かれている。
今まで読み返すことはなかったが、改めて見て不思議に思う。
筆跡は確かに私の書いた字に間違いは無い。でも別れたくない。早く戻ってきてほしい。こんな文書を書いた覚えがない。
それにペンタスに願う? 確かにこの時期、流行っていたけど。
疑問を持ちながらも、元の場所である机の引き出しに手紙をしまうと、薄いカーテンを閉めるため窓際に向かい歩いていた。
何気なくのぞき見た窓の外には、私を見つめるかのように一番星が輝いている。
そのことに気付くと、年甲斐も無く歌うかのように声に出していた。
「いちばんぼーしーみーつけた♪」
その光景は懐かしくも感じ、まるでしばらく会っていない友人から、忘れていた昔話を聞かされているようだった。
あっ、このことだったんだ。
手紙の文書に心辺りが有ることがわかると、当時のことを思い出し呆れるように笑ってしまう。
「あの子、今どこにいるのかしら」
それは知らず知らずに、私にくれた優しさに気付いてしまったから。
三年前の春。私とあの子の出会いは、最悪の事態から始まったのだった。
私はそのことをペンタスに願います。
夕暮れ時の赤く染まる自宅の部屋で、一通の手紙を読み返していた。
この文書は三年前、彼に渡しそびれた手紙の最後に書かれている。
今まで読み返すことはなかったが、改めて見て不思議に思う。
筆跡は確かに私の書いた字に間違いは無い。でも別れたくない。早く戻ってきてほしい。こんな文書を書いた覚えがない。
それにペンタスに願う? 確かにこの時期、流行っていたけど。
疑問を持ちながらも、元の場所である机の引き出しに手紙をしまうと、薄いカーテンを閉めるため窓際に向かい歩いていた。
何気なくのぞき見た窓の外には、私を見つめるかのように一番星が輝いている。
そのことに気付くと、年甲斐も無く歌うかのように声に出していた。
「いちばんぼーしーみーつけた♪」
その光景は懐かしくも感じ、まるでしばらく会っていない友人から、忘れていた昔話を聞かされているようだった。
あっ、このことだったんだ。
手紙の文書に心辺りが有ることがわかると、当時のことを思い出し呆れるように笑ってしまう。
「あの子、今どこにいるのかしら」
それは知らず知らずに、私にくれた優しさに気付いてしまったから。
三年前の春。私とあの子の出会いは、最悪の事態から始まったのだった。
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