ミーコの願い事 始まりの章 「ペンタスとヒトデ」
私は笑顔の彼女に、戸惑いながらも問いかけた。
「ちょっと待っておばさん、これ胡蝶蘭って書いてありますよ。胡蝶蘭って、外国名はペンタスって名前ですか?」
「はい、そうですよ。胡蝶蘭は英語で、ファレノブシスって呼ばれています」
「いやいや、何が正解かわからないじゃない」
少し安心しながらも、彼女が間違えのないように、大きな声でゆっくり伝えていた。
「違うのおばさん。ペンタスありますか。ぺ、ン、タ、ス」
彼女は「はいはい」っと返事をしながら、二、三歩歩くと、今度は仏壇にお供えする菊の花束を手で示した。
「それも違うでしょ。私が欲しいのは、ぺ、ン、タ、ス。最近、若者の間で流行っている、ぺ、ン、タ、ス。わかりますか?」
言葉にやっと理解したように、口を大きく開き頷いていた。
ゆっくり方向を変えると、ショーケースの方向に歩き出した。
ケースにしまわれているなんて、やっぱり特別な花なのね、カサブランカのように繊細なのかしら。
今度こそ手に入ると確信をした私だったが、少しづつ歩く彼女の後ろ姿を見ながらも、そんな期待は不安に変わってしまう。
何気なく見たレジカウンター付近の貼り紙には、太く大きな文字で、ペンタスは終了しましたと書かれてあったのだった。
この日、数件の花屋を回ってみたが、ペンタスが置いているお店は無かった。
腕時計で時刻を確認すると、十九時四七分っと示している。
「もうこんな時間か、何やっているんだろう? 今の私」
呆れるようにうなだれた私は、気が付くといつもの水路横のベンチ前に訪れていた。
無意識のまま足を運んでしまうこの場所で、今日一日の疲れを実感をしている。
何を期待しているのだろう、ペンタスに?
それとも気をまぎらわせているいるだけだろうか?
私は人気のない道を見渡した後、下を向きため息を付いた。
「はぁ」
「ちょっと待っておばさん、これ胡蝶蘭って書いてありますよ。胡蝶蘭って、外国名はペンタスって名前ですか?」
「はい、そうですよ。胡蝶蘭は英語で、ファレノブシスって呼ばれています」
「いやいや、何が正解かわからないじゃない」
少し安心しながらも、彼女が間違えのないように、大きな声でゆっくり伝えていた。
「違うのおばさん。ペンタスありますか。ぺ、ン、タ、ス」
彼女は「はいはい」っと返事をしながら、二、三歩歩くと、今度は仏壇にお供えする菊の花束を手で示した。
「それも違うでしょ。私が欲しいのは、ぺ、ン、タ、ス。最近、若者の間で流行っている、ぺ、ン、タ、ス。わかりますか?」
言葉にやっと理解したように、口を大きく開き頷いていた。
ゆっくり方向を変えると、ショーケースの方向に歩き出した。
ケースにしまわれているなんて、やっぱり特別な花なのね、カサブランカのように繊細なのかしら。
今度こそ手に入ると確信をした私だったが、少しづつ歩く彼女の後ろ姿を見ながらも、そんな期待は不安に変わってしまう。
何気なく見たレジカウンター付近の貼り紙には、太く大きな文字で、ペンタスは終了しましたと書かれてあったのだった。
この日、数件の花屋を回ってみたが、ペンタスが置いているお店は無かった。
腕時計で時刻を確認すると、十九時四七分っと示している。
「もうこんな時間か、何やっているんだろう? 今の私」
呆れるようにうなだれた私は、気が付くといつもの水路横のベンチ前に訪れていた。
無意識のまま足を運んでしまうこの場所で、今日一日の疲れを実感をしている。
何を期待しているのだろう、ペンタスに?
それとも気をまぎらわせているいるだけだろうか?
私は人気のない道を見渡した後、下を向きため息を付いた。
「はぁ」