ミーコの願い事 始まりの章 「ペンタスとヒトデ」
 最初は社名をカタカナで様子をみようかな? 

 頭の中でデザインをイメージする私に気付いたのか、先生は悟すように話してきた。

「仕事のことはいいから、今を楽しみなさい」

「あっ、はい。楽しんでいます。はっはっはっは」 

 守君が一投目を放ったのだろうか、レーンから気持ちの良い弾けるような音がした。

「わー凄い」蘭ははしゃぎ喜んでいる。

 ピンの残り数を確認すると、そのボールは全てのピンを倒す、ストライクと呼ばれるものだった。

「あら、凄いわね、スピード感が有って気持ちいいぐらいね」

 先生の言葉に頭の中で、文字にスピードを連想させることが出来ればなどと考えていた。
 次に蘭が投げると、一投目は七本倒し、二投目で全てのピンを倒していた。

「おおっいいぞスペアだー」

 守君は興奮し蘭に言葉をかけている。
 先生は私の背中を軽く叩くと、我に返るような言葉をかけていた。

「ほら、京子ちゃんの番よ」

 そうだ、何をやっているんだ、雰囲気駄目にするじゃない。

 せっかくだから、一生懸命いまを楽しまなきゃ。 少し緊張気味になり頬を膨らめせ息を吐くと、蘭が私に声をかけた。

「京子さん頑張って」

 私は以前テレビで見た女子プロボーラーをイメージし、華麗なフォームで一投目を放った。

「凄い京子さんもストライクだ」

 守君と蘭はお互いの手を合わせ喜んでいる。

「まあ、こんなもんでしょう」

 喜ぶことなく席に座ると、再び依頼のロゴが気になっていた。

 
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