ミーコの願い事 始まりの章 「ペンタスとヒトデ」
雨の中の少女
店を飛び出すと、薄手のコートを羽織り襟を立てる。
帰り道の町並みを、にらむように見つめていた。
すれ違う人々の表情は、私だけを取り残すように幸せに見せ、心を重くさせる。
何もかも上手く行かない。仕事もプライベートも。
一層のこと、このままどん底まで落ちてやる。
そんな投げやりな気持ちにもなるほど、私の気持ちは落ち込んでいた。
一瞬我に返り心を切り替えようと試みたが、何を考えたらいいのかもわからない。
駄目だ、前向きに考えることも出来ない。
もう最悪、最悪だ。
夕日の出ない曇り空は、夜も近づき不安な光景だけを作り上げていた。
つまらない町。つまらない時代。そんなことばかり考え街並みを見つめていた。
電車に乗ることも忘れしばらく歩るくと、私の気持ちを少しまぎらせる、提灯のような優しい灯りが、視界に飛び込んできた。
最近出来たのだろうか、小さな花屋から放っている。
ねずみ色の住宅の間に、一軒だけオレンジ色の外壁。
そのただ住まいは、見るからに新しい。
ふーん良いじゃない。そうだ、ここで気晴らしに値段の高い花でも購入してみるか。
ムシャクシャした気分を誤魔化すため、私は店の中に入って行った。
「いらっしゃいませ」
普段なら私の気を引いていただろう、若い男性店員の声がする。
二十代前半だろうか? 何故か花屋で働く男性はおしゃれに見えてしまう。
衣服のサイズ感が良いのだろうか? スタイリッシュにも見え、身だしなみも優しく女性好みに清潔感をあたえる。
しかし今はそれにも反応することなく、不貞腐れた態度で店内を見渡していた。
へーっ、意外におしゃれじゃない。
そこは色彩豊かな花で埋め尽くされていた。
帰り道の町並みを、にらむように見つめていた。
すれ違う人々の表情は、私だけを取り残すように幸せに見せ、心を重くさせる。
何もかも上手く行かない。仕事もプライベートも。
一層のこと、このままどん底まで落ちてやる。
そんな投げやりな気持ちにもなるほど、私の気持ちは落ち込んでいた。
一瞬我に返り心を切り替えようと試みたが、何を考えたらいいのかもわからない。
駄目だ、前向きに考えることも出来ない。
もう最悪、最悪だ。
夕日の出ない曇り空は、夜も近づき不安な光景だけを作り上げていた。
つまらない町。つまらない時代。そんなことばかり考え街並みを見つめていた。
電車に乗ることも忘れしばらく歩るくと、私の気持ちを少しまぎらせる、提灯のような優しい灯りが、視界に飛び込んできた。
最近出来たのだろうか、小さな花屋から放っている。
ねずみ色の住宅の間に、一軒だけオレンジ色の外壁。
そのただ住まいは、見るからに新しい。
ふーん良いじゃない。そうだ、ここで気晴らしに値段の高い花でも購入してみるか。
ムシャクシャした気分を誤魔化すため、私は店の中に入って行った。
「いらっしゃいませ」
普段なら私の気を引いていただろう、若い男性店員の声がする。
二十代前半だろうか? 何故か花屋で働く男性はおしゃれに見えてしまう。
衣服のサイズ感が良いのだろうか? スタイリッシュにも見え、身だしなみも優しく女性好みに清潔感をあたえる。
しかし今はそれにも反応することなく、不貞腐れた態度で店内を見渡していた。
へーっ、意外におしゃれじゃない。
そこは色彩豊かな花で埋め尽くされていた。