奏くんはきらきら
そして日曜日。
ひなたと奏と数名の生徒は、駅前の公園で待ち合わせをしていた。
自転車を降りて待ち合わせ場所に向かっていくと、奏が一人で日当たりの良い木陰のベンチに座っていた。
奏はひなたを見つけると隣を開けて、座るように促した。
「おはよう」
ひなたが言った。
「今日晴れて良かったね。」
「ね。天気予報では雨だったのに。」
ひなたが言った。
「昨日見た少女漫画に、やっぱり奏くんに似てるライバルキャラが出てきたよ。どう考えても似てる。」
「ライバルキャラってどうなんだろうね。メインヒーローじゃない時点であんまり魅力的じゃないと思うけど。良いことじゃなさそう。」
「奏くんその茶髪どう?。いつもしてる読書も。スカして口説き文句が半端ないのどうにかなんないの。」
「漫画キャラがでしょ、それ。僕は言ってない。変な言い方しないでよね。」
奏が聞いた。
「西井さんが漫画読むのがどうにかなんないの。」
「うーん。……でもライバルキャラってどうせヒロインの取り合いには勝てないんだよね。奏くんはドンマイだよ。」
「ドンマイも何も。僕には関係ないよ。そんなふ風に言うなんておかしい。」
奏が呆れ顔で言った。それから言った。
「少女漫画で取り合いに勝てないなら居てもつまらなくない?。ヒーローとだけハッピーエンドになるんでしょ?。」
「大体はね。」
「じゃあライバルっていつも何してるの?。」
「とにかくスカしてる。読書したりバスケしたり、ヒロインに格好いい所を色々アピールしてる。でも結局負けるんだ。」
「ふーん。で、西井さんは僕がその負けキャラだって言うんだ。」
「だって似てるんだもん。」
しばらくすると他の友達たちが来たので、ひなた達は出発した。