奏くんはきらきら
次の昼休み、教室で奏はひなたの席に行った。
また屋上へ行こう、と誘ったのだ。
しかしひなたはうんと言わなかった。
鍵はなくしてしまったと言い、奏がなんと言っても行くと言わなかった。
「ここで僕が何か言うと西井さんが目立っちゃうでしょ。」
奏が言った。
「僕の好意をそういつまでも受け流せると思わないでよね。もうそろそろ西井さんは平気な顔できないよ。」
しかしひなたは首を振った。
「奏くんとは付き合えない。」
「どうして?」
思いの外きつい言い方のどうして?に、ひなたは考えてから言った。
「その……ライバルキャラだし。メインヒーローじゃ、ないし。」
奏はさっくり聞いた。
「しつこい。殴られたいの?」
ひなたは首を振った。
「奏くんとは付き合えない。付き合いたくない。」
ひなたはライバルキャラだし、とボソボソと繰り返した。
しばらくそんな問答が続いていたが、奏はふい、と下を向くと、もう良い、言った。