奏くんはきらきら
朝のホームルーム前、ひなたはやっぱり漫画を読んでいた。
絵ばかり多く文字の少ない漫画は、読み応えがなくさくっと読めてしまう。
ふと目をあげると、廊下側の席で、転校生の奏が本を読んでいるのが目に入った。
────似ている。
屋上で一番最初に奏を見た時ひらめくように思った事を、ひなたはまた思った。
奏くんは似ている、少女漫画のセオリーなライバルキャラに。
明るい茶髪も、その茶髪が癖っ毛なのも、整った顔立ちも、もの静かな割にハキハキ喋る所も良く似ていた。
趣味が読書なのなんて、一回思い込んでしまうとひなたにはそうとしか思えなかった。
────最近読んでる漫画に、奏くんそっくりのキャラクターが出てくる気がする。
もちろんヒーローではなくライバルキャラだ。
頬杖をついたまま偶然を面白く思ったひなたを背に、奏は本を戻すために立ち上がった。