【短編】あなたのキスの練習台


「オレさ」


 優一が、こともなげに云った。


「昼間、赤峰に告白された。付き合ってくれって」



 ……へ?



 わたしは頭がまっ白になった。


 だけど、必死で思考を整えて、返事をする。


「赤峰さんって2組の? え? それで、なんて答えたの?」


「けっこうさ、好みかなって思って。もう中3にもなるんだし、彼女作ってもいいかなと思ってOKした」



 こいつ、いきなり爆弾発言をしやがった……!



「へぇ、そうなの」


「一応月子には報告しとこうかなと思ってさ。一番長い付き合いだし」


「べつに気にしなくていいのに、こんなただの腐れ縁」


「まあな。だけど、呼び出したのは報告するためだけじゃないんだ」


 まあなってなんだよと腹の中では怒りつつ、わたしは続きをうながした。「他になんの用?」



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