Tageliet──永遠の秘薬──
「あなた、本当にヴァンパイアなの?」

 そうだと確信してはいるが、やはり信じられない思いもあるのだ。

 下弦の月が滑らかな弧を描き淡く闇夜を照らしている。

「なら、試してみるか?」と重なった影に、背後から抱きしめられた。

 突然、首筋を伝う柔らかな感触。その綺麗な唇は、この肩にそっと口付けひとつ落とし離れる。驚きのあまり身動きを忘れ硬直する彼女に、クラウスは面白そうに笑っていた。

「そなたを見ていると、あの頃のことを思い出す」

 クリスティーナと共に生きていた時代のことだということは、すぐに分かった。

 彼と視線を交わしながら、イザベラは「あの夢」を思いを馳せる。
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