Tageliet──永遠の秘薬──
「『月の橋が、きっと導いてくれる。あなたを陽の当たる太陽の下へ。またきっと巡り会える。魂はもう、未来へと繋がっているんだから⋯⋯』」
夢の中で幾度となく聞いた言葉。
彼を見つめるうちに思わず零れたその呟きに、クラウスは突然彼女の腕を引き、今度はその身を掻き抱くよう抱きしめた。
「クラウス⋯⋯? ちょっ、どうしたの?」
小さく震える肩に、嗚咽を耐えるような声。泣いているのだと、瞬時に悟る。
彼はきっと涙することもないほど、孤独だったに違いない。そう思うとイザベラの心は締め付けられ、もう彼を独りになどしたくはないとその背中に自身の両手を添えた。
「私が側にいるわ」
大丈夫よ⋯⋯そう言い聞かせ、慰めるように。
自分ごときが何百年と生きてきた彼の孤独を埋められるなど、到底できるとは思っていない。けれどそれでも、彼の悲しみの一欠片だけでも知ることが出来たのだ。今はただ側に寄り添い、その涙を受け入れてあげられることが出来るだけでもよかったと、そう思いたかった。
下弦の月が静かに雲に隠れる。
『何も見ていないよ⋯⋯』
まるでそう語っているかのように────。
夢の中で幾度となく聞いた言葉。
彼を見つめるうちに思わず零れたその呟きに、クラウスは突然彼女の腕を引き、今度はその身を掻き抱くよう抱きしめた。
「クラウス⋯⋯? ちょっ、どうしたの?」
小さく震える肩に、嗚咽を耐えるような声。泣いているのだと、瞬時に悟る。
彼はきっと涙することもないほど、孤独だったに違いない。そう思うとイザベラの心は締め付けられ、もう彼を独りになどしたくはないとその背中に自身の両手を添えた。
「私が側にいるわ」
大丈夫よ⋯⋯そう言い聞かせ、慰めるように。
自分ごときが何百年と生きてきた彼の孤独を埋められるなど、到底できるとは思っていない。けれどそれでも、彼の悲しみの一欠片だけでも知ることが出来たのだ。今はただ側に寄り添い、その涙を受け入れてあげられることが出来るだけでもよかったと、そう思いたかった。
下弦の月が静かに雲に隠れる。
『何も見ていないよ⋯⋯』
まるでそう語っているかのように────。