Tageliet──永遠の秘薬──
❁.




 朝早くに目を覚ましたイザベラは、誰よりも先にライヒシュタイン城を離れ、アウエンミュラー城に戻って来た。

 仲間はたったの四人。しかし相手は軍隊を率いた一国の主だ。力で攻めても到底太刀打ちなどできないことは、誰の目にも明らかだった。

 それは捨て身の作戦。

 言葉で説得できるとは、イザベラとて思ってはいない。けれど、どんなに非道な人物であれ、それは彼女の父親には違いないのだ。

 皆が無駄だと彼女を諭した。

────が、例えそうだとしても、黙って従う気にはなれなかったのだ。
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