Tageliet──永遠の秘薬──
「歴史の真実を知ってしまった私を、お父様は殺そうとした。なのに死んだと思っていた私が元気な姿で戻って来た時には、さぞかし慌てたでしょう? 記憶を失っていたことを幸いに思ったかもしれない。私もそのままの方が良かった⋯⋯忘れたままでいたかった。けれど、私は全てを思い出した」

 それは、歴代の王たちがひた隠しにしてきた真実。

「私たち一族は血塗られている。私たちは⋯⋯⋯⋯私たち一族は、王族でも何でもない────ただの反逆者の末裔よ!! お願いです⋯⋯これ以上シュタインフェルトの名を汚さないで⋯⋯」

「黙れ! イザベラ!! 口が過ぎるぞ!! 我らは王族だ⋯⋯私は、この国の王だ!!」

 そう叫ぶ国王リュディガーには、もはや威厳も何も感じられなかった。

 睨み合う二人は無言。

 そこにふらりと現れた人影は、「何をおっしゃいます、イザベラ様」と何食わぬ顔で国王の側に立つ。

 それは宰相ギルベルトだった。
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