Tageliet──永遠の秘薬──
 嘲笑うかのようなギルベルトの挑発に、まんまと乗せられてしまったヴィクトール。剣を手にそのまま飛び出して行きそうになる彼を、クラウスが冷静に止めた。

「ヴァンパイア一族の生き残りがいるというだけでもややこしいのに、ヴェルナーの末裔がまだこの世にいるとあらば、一族もろともこの世から抹殺する他あるまい」

「ギルベルト⋯⋯お前、何を言っている? 私はそのような話し初めて聞いたぞ!?」

 側近の豹変ぶりに戸惑う国王は、その時初めて彼に疑いの目を向けたのだ。

 しかし、それではもう遅かった。

「陛下には申し訳ないが、『血清』はとっくに我が手に。しかし、そなたに渡すつもりなど毛頭ない。悪いが⋯⋯貴様はもう用済みだ────」

 ギルベルトの右腕が、国王の左胸をそのまま貫いた。
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