Tageliet──永遠の秘薬──
「やかましい!! たかがヴァンパイア風情の戯言、誰が信じるか! 俺はもはや無敵だ!!」

 彼はその心まで『血清』に飲み込まれていた。こうなってしまえばもう、どんな言葉も響かない。

 言って分からぬのなら武力行使だと、クラウスは手にした剣を構え、仁王立ちになるギルベルト目掛けて立ち向かう。

 化け物の仕留め方は、自らを「悪魔」と呼ぶクラウス自身がよく分かっていた。彼はギルベルトの首を目掛けて飛び込み、力いっぱい切りつける。

 しかし────研ぎ澄まされた剣で切り裂かれたその首元は胴体から切り離されるどころか、あっという間にもとに形に戻り再生されてしまったのだ。

 改めて『血清』という薬の威力を知ったクラウスに、呆気にとられるイザベラとヴィクトール。驚愕の光景に気を取られていると、今度はギルベルトが反撃に出た。国王の亡骸の側に落ちていた剣を瞬時に拾い上げ、クラウスの左肩目掛けて切りつけたのだ。
 
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