Tageliet──永遠の秘薬──
 深く抉られるような痛みに、クラウスは方膝をつき蹲る。そんな彼に止めを刺すべく向かってくるギルベルトを何としてでも止めなければ⋯⋯クラウスを守らなければと、駆け出したイザベラがその身で彼を庇ったその時だった────ギルベルトの振り上げた剣を、別の力が遮った。

「ヴィクトール⋯⋯」

 クラウスに勢いを制止され戦意消失していた様子の彼は、蹲るその人に「何やってんだよ」と笑う。

「天下のヴァンパイア様が、人間の一振りでやられるなんて。さっき僕を止めるから、こんなことになるんだ!」

 こうなる前に仕留めとけばよかったのだと、ギルベルトの剣を何とか押し退ける。視線は前方に向けたまま「随分おもいっきりやられたな」と心配そうな声に、クラウスは「大丈夫だ」と簡潔に応えた。けれどその表情は幾分か辛そうで。
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