Tageliet──永遠の秘薬──
 純血種のヴァンパイアであり、『血清』の力により銀や日光をも恐れることのない肉体を手に入れたクラウス。

 不老不死の彼の唯一の弱点、それが────死人の血だった。

 ギルベルトとの争いで彼が振りかざしていた剣に、僅かながら息耐えた国王の血が付着しており、それによりクラウスも息絶えたのだと。最強の肉体を手に入れたはずのギルベルトも、死人の血には抗えなかったのだ。純血種であるクラウスには効果覿面だったに違いない。

 惨たらしい最期を遂げた実の父の姿にさえ涙することがなかったイザベラだったが、クラウスの死の知らせを受けた時には世界が真っ暗になった。

 美しく気高いヴァンパイア────クラウス・リーフェンシュタール。

 彼の墓標は『闇の森』の奥深く、白亜の古城と呼ばれたライヒシュタイン城の側に建てられた。
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