Tageliet──永遠の秘薬──
 そこでクラウスはヴィクトールにある頼み事をする。それが、自身の死の偽装だった。

 自分は死んだことにしてくれと────。

 自身の存在が、またいつどこで争いに発展するか分からない。『血清』の存在を永遠に隠すためにも、ヴァンパイアはこの世から抹殺されるべきだと。

 クラウスの考えにヴィクトールも納得した。

「けど、なんで黒髪になんだ? 本当に人間になっちまったとか?」

 自分の顔を覗きこみ問う彼に、クラウスは「試してみるか?」と真顔で返す。そんな表情にヴィクトールは「遠慮しとく」と身を引き答えた。

「俺にも分からない。分からない⋯⋯が、銀髪が黒髪に変わったってだけで、俺は俺のままだ。化け物に変わりはない。お前が年老いて死んでも、俺は生き続ける」

「なら、生きてる限り一緒にいてやるよ!」

 言うヴィクトールにクラウスは鼻で笑う。

 空は青く、とても美しかった────。
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