Tageliet──永遠の秘薬──
「ギルベルト様! こちらをご覧ください!」

 兵士の一人が何かを見つけたようで、ギルベルトに声をかけた。その者が指差していたのは、今しがたイザベラが掘り返した母の墓石の前。

 彼らの足音に慌てて日記は持ち出したものの、イザベラは木箱も穴もそのままにしてきてしまったのだ。

「きっとまだ近くにいる。探せ!」

 ギルベルトはそう兵士たちに命じていた。

 それが二人のことだというのは明白。

「このままここにいたら、すぐに見つかっちまう。とりあえずこの場を離れないと」

「どうするの? ギルベルトは今度こそ、本気で私を殺すつもりよ。国王の命令には従わざるを得ないでしょ?」

「何だって!?」

 イザベラの言葉に驚き振り返ったライナーだったが、その勢いで背中に背負っていた剣の鞘が木の枝に引っ掛かり、不自然なほど大きな音をたててしまったのだ。
< 73 / 90 >

この作品をシェア

pagetop