Tageliet──永遠の秘薬──
 しまったと頭を抱えるライナーを思いっきり睨む。

「それでも軍人!?」

「お前がとんでもないこと言い出すからだろ!」

「私は事実を述べたまでよ!」

「今言うなよな!」

 もう今更だが、小声で痴話喧嘩をしていると「これはこれは」と背後で声がする。

 その気だるい声色に背筋がゾクッとした。

「イザベラ様にキースリング元帥までご一緒とは、相も変わらず仲がおよろしいようで⋯⋯」

 意図も簡単に見つかってしまい項垂れるライナーだったが、その腕はしっかりと彼女を庇っていた。

 広く大きな背中に守られながらイザベラも立ち上がる。

「宰相殿の方こそ、このような場所で如何なさいましたか? もしや、我々の後をつけていた⋯⋯とか?」

「元帥の後をつけ回すなど無謀なこと。私が探していたのはそちらの⋯⋯イザベラ様の方にございます」

 含み笑いを湛えたギルベルトの表情に、イザベラ自身言い知れぬ恐怖を覚える。足がすくみ、咄嗟にライナーの背中に無意識にしがみついていた。
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