Tageliet──永遠の秘薬──
「従っていただけないのなら、致し方ない」
そう呟いた彼の傍らに、散らばっていた兵士たちが集い始める。彼らはライナーの姿を見ると口々に「元帥」と発し、戸惑っていた。
彼は彼で、兵士たちの中に自身の腹心である部下を見つけ目を見開く。「マティアス⋯⋯」と見つめる先に相手の名を呟けば、ギルベルトはニヤリと口角を上げた。そして兵士たちに告げる────「殺せ」と。
皆が一斉に剣を引き抜き、その鋭く光る突端を二人に向けていた。彼はイザベラに気を配りながら、自身の剣の柄に手をかける。「俺から離れるな」と僅かな声量でそう告げると、鞘から勢いよくそれを引き抜いた。
多勢に無勢。そんなことは誰の目にも明らかだ。
しかし、彼もここで降参する訳にはいかなかった。
一斉にかかってくる兵士たちに、何とか応戦するライナー。その勇ましい姿に、元帥の肩書きも伊達ではないらしいと、イザベラは改めて感心していた。
剣と剣のぶつかり合う甲高い音が響き渡る。
ライナーにくっついているだけでは、足でまといになるどころかただのお荷物。守られているばかりではいけないと、後生大事に抱えていた書物を地面に捨て去り足で背後に蹴り飛ばす。と同時に、今度は書物の変わりに足元に滑り込んで来た相手兵士の剣を拾い上げ、イザベラも参戦しようと構えた。
そう呟いた彼の傍らに、散らばっていた兵士たちが集い始める。彼らはライナーの姿を見ると口々に「元帥」と発し、戸惑っていた。
彼は彼で、兵士たちの中に自身の腹心である部下を見つけ目を見開く。「マティアス⋯⋯」と見つめる先に相手の名を呟けば、ギルベルトはニヤリと口角を上げた。そして兵士たちに告げる────「殺せ」と。
皆が一斉に剣を引き抜き、その鋭く光る突端を二人に向けていた。彼はイザベラに気を配りながら、自身の剣の柄に手をかける。「俺から離れるな」と僅かな声量でそう告げると、鞘から勢いよくそれを引き抜いた。
多勢に無勢。そんなことは誰の目にも明らかだ。
しかし、彼もここで降参する訳にはいかなかった。
一斉にかかってくる兵士たちに、何とか応戦するライナー。その勇ましい姿に、元帥の肩書きも伊達ではないらしいと、イザベラは改めて感心していた。
剣と剣のぶつかり合う甲高い音が響き渡る。
ライナーにくっついているだけでは、足でまといになるどころかただのお荷物。守られているばかりではいけないと、後生大事に抱えていた書物を地面に捨て去り足で背後に蹴り飛ばす。と同時に、今度は書物の変わりに足元に滑り込んで来た相手兵士の剣を拾い上げ、イザベラも参戦しようと構えた。