Tageliet──永遠の秘薬──
゚・*:.。❁ 二、『闇の森の住人』
追っ手から逃げるよう入り込んだ場所は、古くから「悪魔の棲み処」として忌み嫌われている『闇の森』。その名の由縁を知る者は決して近寄らない魔の森だからこそ、身を潜めるには格好の場所だった。
暗闇に息を殺し巨木の陰に身を屈め、彼女は迫り来る恐怖にじっと耐えていた。自らが掘り起こしてしまった真実の種。無謀な正義感など振りかざさなければよかったと、そう後悔しても後の祭り。結果、彼女は自らを窮地に追いやり、その命さえも危険に晒してしまっていた。
もう、どこにも逃げ場はない。
気づけば、周囲は数人の兵士に取り囲まれ八方塞がり。呼吸などままならなかった。
「あなた様に恨みなどございません。しかし、これも命令⋯⋯お許しくださいませ」
兵士の一人が剣を手に歩み出る。こちらに近づきながら「お許しください」と何度も繰り返して。その懺悔ともとれる文句に、彼女はその男の中に弱さを見た。
大木に背中を預け、真っ直ぐ目の前の一人の兵士だけを見据える。彼は明らかに躊躇っていたのだ。
途端に男が泣き崩れ、地に膝を着く。
思った通りだ。自分には出来ないと、まるで駄々をこねる子供のように声を上げ、震える両手はもう既に剣を手放していた。
暗闇に息を殺し巨木の陰に身を屈め、彼女は迫り来る恐怖にじっと耐えていた。自らが掘り起こしてしまった真実の種。無謀な正義感など振りかざさなければよかったと、そう後悔しても後の祭り。結果、彼女は自らを窮地に追いやり、その命さえも危険に晒してしまっていた。
もう、どこにも逃げ場はない。
気づけば、周囲は数人の兵士に取り囲まれ八方塞がり。呼吸などままならなかった。
「あなた様に恨みなどございません。しかし、これも命令⋯⋯お許しくださいませ」
兵士の一人が剣を手に歩み出る。こちらに近づきながら「お許しください」と何度も繰り返して。その懺悔ともとれる文句に、彼女はその男の中に弱さを見た。
大木に背中を預け、真っ直ぐ目の前の一人の兵士だけを見据える。彼は明らかに躊躇っていたのだ。
途端に男が泣き崩れ、地に膝を着く。
思った通りだ。自分には出来ないと、まるで駄々をこねる子供のように声を上げ、震える両手はもう既に剣を手放していた。