Tageliet──永遠の秘薬──
「どういうことだよ!?」と声を上げる彼を一瞥し、イザベラは話を続ける。

「あなたに助けられる前、私は母の遺した日記を見つけたの。⋯⋯これよ」

 彼女は母の墓前で見つけた日記をクラウスに見せる

「ここには父とギルベルトの企みが記されてあるわ。そしてクラウス、あなたのことも。父もギルベルトもあなたの存在を知っていた。もちろん、あなたの秘密も。『それ』を父たちは欲しがっている」

 クラウスはただ無言のまま、イザベラを見つめていた。

「あなたはヴァンパイアでありながら、人の血を欲しない。けれど今も生き続けている⋯⋯⋯⋯それは、なぜ?」

 きっとそれが、国王とギルベルトが求めた謎。

 柱時計は、七つの目の鐘を鳴らしていた。
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