音のない世界に生きる私が、あやかしの妻になりました

(雪平の…言った通りだったわ……)

 桜にかけられた呪い。 
 それを作ったのは、雪平から聴いた通り、黒稜の父である御影 稜介だった。
 桜だって、何度呪いなどなかったら…と思ったことだろうか。
 しかし、桜は稜介を恨むことが出来なかった。
 稜介はただ、最愛の妻を救いたかったのだ。
 好きな人を、失いたくなかったのだ。
 桜は胸が張り裂けるような想いだった。

 過ぎ去りし日々を見ているだけの桜には、ただただ祈ることしか出来ない。


(どうか、どうか。お二人が苦しみから解放され、いつまでも一緒にいられますように……)


 桜はそう、心から祈った。


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