オレンジじゃない夕方
06
社会の壁新聞作りのグループは、座席ごとだった。
机を合わせて前を見ると、いつもは隣りに座っている敬が端正な顔で頬杖をついていた。
「写真を貼りまくって、賑やかな新聞にしようよ。」
クラスメートの一人が言った。
「地域に根ざしたレポートでも、面白い方が良い」
「分かりやすいのにしようぜ」
「簡単にできるのがいいよ。そうだ。」
クラスメートの一人が言った。
「帰り道にある駄菓子屋のレポートはどうかな。」
「あ、良いね。」
「写真撮るついでにお菓子買おうよ。」
チラリと前を盗み見ると敬と目が合った。
慌てて下を向くと、視界の隅で、敬がくすっと笑った。
結局、壁新聞のテーマは学校の近くにある古い駄菓子屋についてに決まった。