オレンジじゃない夕方
「ごめんね。もう少しプッシュがあったら真咲と組んだんだけど」
HRの後。
申し訳無さそうな冴に、私は手を振った。
冴が言っているのは、国語の授業の共同発表の事だった。
二人組で発表する課題で、冴が他の人と組んだので、私には相手が居なかった。
「一人でやるの、気楽だから良い」
「本当ごめんね。里香ちゃん、泣くからさ」
冴が言った。
「友達だから言うけど、真咲、もうちょっと私に押して来ても良いと思うな。」
「良いよ、あんなの一人だって。」
「もう少し絡んでくれた方が嬉しいんだけど。」
冴は呆れ顔でため息をついた。
「真咲のそういう所、尊敬する。」
尊敬すると言われた私は発表のテーマを考え始めた。