クールな綺堂くんの理性が夜だけ狂います。


「風神先輩と深影くんって、どういうつながりがあるんですか?」


今まであまり触れたことがなかった。


深影くんは、自分が信頼してる人間しかそばに置かない。


それに、今まで薬を運んでいたのは風神先輩と紫桜くん――つまり、深影くんがふたりを信頼してるということ。


ふたりと深影くんの関係性は、いまだによく知らないまま。



「俺と深影は幼なじみでさ」


それは初耳だ。



「深影とは幼小中からずっと一緒の仲だったし、俺も昔はそれなりの家柄で育ってきた。けど、父親の会社の経営が傾いて、両親が借金作って夜逃げした。――で、取り残された身寄りのない俺を救ってくれたのが深影だった」



「............」



「今まで付き合いがあったやつらも、しょせん金や社会的地位でつながってただけの脆い関係だって思い知らされた。けど、深影だけは幼なじみとして、俺を救ってくれた。だから、俺もなるべく深影の力になりたいんだよな」



「そう、だったんですね」


ふたりにそんな過去があったんだ。

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