クールな綺堂くんの理性が夜だけ狂います。
「蓮香さんさ、それ天然アピール?」
「てん、ねん?」
「今時こんな抜けてる天然いないと思うし、どう見たって養殖でしょ」
「養殖......」
「深影くんに近寄る天然のふりした養殖女、僕この世でいちばん嫌い」
「あの、紫桜くん。いっこ聞いてもいい?」
「なに」
「その、今なんで魚の話するのかなって。あっ、もちろん抜けてるところはちゃんと直すので!」
「......は? いや、そっちこそなんの話してるの?」
「え、だって天然とか養殖って魚のことじゃないの?」
あれ、なんかいまいち噛み合ってない?
紫桜くんが、もはや呆れたのを通り越して、何言ってんのって顔してる。
「......ははっ、まってやば」
「な、なんで笑ってるの⁉︎」
紫桜くんが笑うって、結構レアな気がするんだけど!
「話通じないところ本物じゃん。こんな天然って実在するんだ。おもしろ」
紫桜くんの笑いのツボが、よくわからない。