クールな綺堂くんの理性が夜だけ狂います。
紫桜くんが中学二年生のころ......橋の上から飛び降りようとしたら、偶然そこに居合わせた深影くんが止めに入ったそう。
「僕さ、両親に捨てられたんだよ」
あまりに衝撃的な内容すぎて、言葉が何も出てこない。
「身寄りなくてつまんない人生をぜんぶリセットしたくて......死のうかと思った」
「どうせ止めたところで、僕の人生どうにかしてくれるわけじゃないでしょって、深影くんに大きな口叩いてさ......そうしたら、深影くんが何も言わずに橋から飛び降りようとしたんだ」
「......え?」
「あのときの深影くんの行動には驚いて、僕もとっさに深影くんを止めてた」
そのとき、深影くんが言ったそう......『お前がしようとしてることだよ、これ』――と。
「深影くんに言われてハッとしたんだ。自分がどれだけ軽率な行動を取ろうとした か......。あのとき深影くんがいなかったら、僕は今ここに存在してなかったかもしれないから。深影くんは僕を救ってくれた命の恩人なんだよ」