クールな綺堂くんの理性が夜だけ狂います。
溺れる体温


夏休みのとある日の夕方。


深影くんがいきなりわたしの部屋にやってきて、大きな紙袋をドサッと渡してきた。


「俺が見立てたから間違いないと思うけど」


腕時計で時間を確認して、何やら急いでる様子。


「あと一時間か。柑菜すぐ準備して」


「えぇっと、もう少しわかるように説明してほしい――」


「俺の父さんが主催するパーティーに急きょ参加することになった。柑菜も一緒にね」


「えっ、わたしも⁉︎」


「俺もさっき連絡来たから。とにかく柑菜はこれに着替えることね」


大きめの箱から出された淡いピンクのドレス。


胸元と袖がレースで程よい透け感があって、足首まで隠れるロング丈のもの。

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