クールな綺堂くんの理性が夜だけ狂います。
まだ小学校に入る前......わたしは大きなケガをして、数週間入院をした。
ひとりで病室にいる時間はとても退屈で、そんなとき病院で出会ったひとりの女の人がいた。
長年病気を患って入院していて、読書がとても好きな人だった。
いつも会うたびに優しく笑いかけてくれて、太陽みたいにあたたかくて......。
その人と過ごす時間は、幼いころのわたしにとってはすごく幸せで、いつしかお母さんの面影を重ねていた。
「本当のお母さんみたいに接してくれた人で......。その人がくれた大切なしおりだから、今も肌身離さず持ち歩いてるの」
「......そっか」
一瞬、深影くんがとてもやわらかい顔をして笑った。
その表情が、誰かと重なるような気がして......。