クールな綺堂くんの理性が夜だけ狂います。
「いつもこの時間までずっと起きてるの?」
「薬飲まないと身体もたないからね」
「そ、そうなんだ。眠くても寝られないってこと、だよね」
「そーだね。まあ、いつもあんま深く眠れないから」
「不眠症......とか?」
「どうなんだろ。俺あんま自分の身体に興味ないから」
「ちゃんと気にしないとダメ......だよ。もっと自分を大事にしなきゃ」
「......じゃあ、柑菜が俺を大事にしてよ」
真っ黒の澄んだ瞳が、寂しそうに揺れる。
この目に見つめられると、どうしてだか胸がギュッと苦しくなる。
「......このまま俺が薬飲まなかったらどうする?」
「え......?」
深影くんの手によって、わたしの身体は簡単に持ち上げられて......気づいたらわたしが深影くんの上にまたがって乗っかる体勢に。
ほんの少しだけ、わたしのほうが目線が高いけど......少し落とせば、お互いの視線がしっかり絡む。
ベッドのそばにあるデジタル時計は、日付を超える十五分前を表示してる。