クールな綺堂くんの理性が夜だけ狂います。
「女子寮まで送ろうか? 外だいぶ暗いし」
「ううん、大丈夫! 学園内だから安全だし、宇賀くんが門限に間に合わなくなったら申し訳ないよ」
これもほんとのこと。
門限を破ったら、とにかく長い反省文を書かされることに
なるから。
宇賀くんとは校舎を出たところで別れた。
特別寮に入るときは、いつも周りを見て誰もいないかを確認する。
誰かに見られたら、どうなることか。
「あれ、カードキーどこいったんだろう?」
教材に埋もれて、カードキーが行方不明。
ど、どうしよう。
こんなところでもたついて、誰かに見つかったら――。
「あれ、柑菜だ」
「ひっ......! あっ、深影くん!」
び、びっくりした。
他の生徒に見つかったかと思った。
深影くんはスーツ姿で、いま帰ってきたところっぽい。