宮川修内太の異常な日常Ⅱ~魔女の瞳番外編~
異常事態と呼ぶに相応しい状況だった。

死にかけていた筈の俺の肉体の変貌。

同時に俺の感情に湧き上がるのは、苛立ち、憤怒。

抑えきれないほどの暴力衝動…!

「おい」

首筋に食らいつかれたまま、俺は片手を振り上げる。

そして。

「いつまで咬みついてやがる!」

俺は拳をワイバーンの頭に振り下ろした!

通常ならば、人間の打撃など通用する筈もない。

相手は竜の亜種だ。

肉体の頑丈さは、サバンナにいる猛獣の比ですらない。

そんなワイバーンが。

「!!」

俺の拳の一撃で目の焦点を失い、その体躯を大きくよろめかせた。

頭蓋骨が、メシャッ!と嫌な音を立てる。

信じられない事に、ワイバーンは人間である俺の打撃によって、昏倒しつつあった。

更に驚いた事に。

「ハッ…脳震盪起こしてやがる」

ワイバーンを痛めつけた事に対して、俺は確かに愉悦を感じ始めていた。

< 23 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop