宮川修内太の異常な日常Ⅱ~魔女の瞳番外編~
最早完全に立場は逆転していた。

気づけばワイバーンに咬まれて大流血していた筈の首の傷も塞がっていた。

俺は抵抗する力さえ無くし、完全に闘争心を失ったワイバーンの首を。

「負け犬が」

鈍い音を立ててへし折った。

如何に飛竜と言えど、頚椎を折られては生きてはいられない。

ゆっくりと首を掴む手を解放してやると、ワイバーンは力なく床にその巨体を横たえた。

「ははっ…だらしねぇ…もう終わりかよ」

嘲りの言葉を口にする。

…俺は心底そう思っていた。

最強の竜種の亜種の癖に、もう少し俺を楽しませてくれないものか。

そして、その物足りなさを。

「メグ」

俺はそばに立つ魔女で晴らそうとしていた。

「お前なら、もうちょっとは愉しませてくれるだろう?」

< 25 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop