天色ガール【修正版】
───彼女のことを調べて数時間。
「駄目だ、わからない」
そう思わず言葉を漏らせば、「……は?」と屋上にいる全員が一斉にこちらを向いた。
みんな俺の言ったことが理解できないとでも言いたげな表情をしている。
俺だって意味がわからない。
俺はハッキングの技術に自信があって、ここの生徒の基本的な個人情報ならすぐに調べられるくらいの力はある。
だけど、ただの女子生徒一人の情報を調べられなかったことは初めてだった。
「彼女のデータは二重のロックで守られていて、なんとか一つは解除できたけど……それ以上は何時間かけても無理だと思う」
それに一つは解除できたといっても、出てきた情報はすでに知っているフルネームと年齢だけだ。
生年月日や家族構成、転校前の経歴などについては何も分かっていない。