最期の言霊
それから俺たちは、天気関係なく、2週間に一度は二人で神社巡りをするようになっていた。
神社なんて全然興味がなかった俺が信じられない。
笹森さんと一緒に居ると、不思議なことがたくさんあった。
とある神社では、たくさんの蝶が笹森さんの周りに集まってきて飛んでいたり、雨の日に神社に行った時は、鳥居を潜ると共に雨が止んだときもあった。
そして、ある神社の参道を二人並んで歩いて居る時、俺は笹森さんに「笹森さんは、どうして神社が好きになったの?」と尋ねてみた。
すると、笹森さんは「お祖母ちゃんの影響かな?」と言ったのだ。
「お祖母ちゃん?」
「うん。うちのお祖母ちゃん、沖縄出身なんだけど、昔ユタってゆう仕事をしていたんだって。沖縄では有名らしんだけど、沖縄の霊媒師みたいな?」
「へぇ〜、ユタかぁ。初めて聞いた。」
「それでお祖母ちゃんが神社巡りが好きで、わたしも一緒に行ってたんだぁ。」
「そうだったんだ、お祖母ちゃんっ子だったんだね。」
俺がそう言うと、笹森さんは笑顔で「うん。」と頷いたあと、「もう亡くなっちゃったんだけどね。」と切なそうに言った。
そして、「わたしがもう少し早く、お祖母ちゃんの病気に気付けてれば、、、」と何か後悔するような言い方をしたのだ。
そんな切なそうな笹森さんの表情を見て、つい抱き締めたくなる気持ちを俺はグッと我慢した。
いつか、いつか、、、笹森さんが寂しい時、悲しい時に抱き締めてあげられる存在になれればいいなぁ。
俺は、そう思ったたのだった。