最期の言霊

"縁結び"の帰り、今日も俺は笹森さんを家まで送るため夜道を二人で歩いていた。

「今日は飲んだなぁ〜。」
「飲みに行くの久しぶりだったもんね。」
「二日酔いになったら、どうしよ、、、」

二日酔いの具合悪さを思い出しながら、俺は胸あたりを擦った。

俺は酒に強いタイプではない為、酒を飲んだ次の日は大体二日酔いになるからだ。

すると、笹森さんが「大丈夫だよ。」と言った。
そして続けて「二日酔いにならない!って思えば、ならないから!前向きに!ほら、言霊。」と言ったのだ。

俺は「そっか。」と言うと、念仏を唱えるように「俺は、二日酔いにならない。俺は、二日酔いにならない、ならない、ならない。」と呟いた。

それを見て笑う笹森さん。

そして、笹森さんの自宅前に着くと、笹森さんは「今日も送ってくれて、ありがとう。お疲れ様!」と言い、それから俺たちは「おやすみ。」と言い合うと、手を振って別れ、俺は自分の家路についた。

俺は空を見上げた。
月が綺麗だなぁ、、、。

笹森さんと出会うまで、こんなこと思ったことなかったのに。

人って、出会う人によって変わるものだなぁと実感した。

俺は疲れから欠伸をすると、帰宅してすぐに眠りに就いたのだった。

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