最期の言霊
そして、笹森さんが入社してきてから1週間が経とうとしていた時、ふと総務部の方を見ると笹森さんが総務部のお局様である岩井さんに書類を見せ、何か確認を取っているのが見えた。
岩井さんはパッとしか書類を確認せず「いいよ。さっさと打ち込んで。」と言っているのが聞こえてきた。
笹森さんは「ありがとうございます。」と小さくお辞儀をすると、自分のデスクに戻り、パソコンに向かって何かを打ち込み始めたのだった。
「やっぱ気になる?」
突然耳元で聞こえる声に俺は「わぁ!」と驚いた。
声の主は、伸也だった。
伸也と俺は、同じ商品部でデスクが隣同士なのだ。
「いや、別に、、、」
俺がそう言うと、伸也は悪戯な笑みを浮かべ「ふ〜ん。」と言った。
それからお昼休憩になり、休憩が終わった午後。
急に総務部が騒がしくなったのだ。
ふと見ると、岩井さんが笹森さんに何か怒って騒いでいるのが見えた。
「ちゃんと確認しないから、こうゆうことになるんでしょ?!ダブルチェックしないといけない仕事なんだから!あんたがミスしたら、みんなに迷惑がかかるのよ?!」
岩井さんはみんなに聞こえるような大声で笹森さんを責めていた。
笹森さんは何度も「申し訳ありません。」と頭を下げていて、その間には「まぁまぁ、まだ入社したばっかりなんだから、許してあげてよ、岩井さん。」と頼りなくハゲ課長が岩井さんを宥めようとしていた。