最期の言霊

次の日の朝。
起きて俺は、驚いた。

本当に二日酔いになっていなかったからだ。
むしろ、よく眠れてスッキリしている。

酒を飲んだ次の日にこんな体験をしたのは初めてで、俺は思わず一人で「すげぇ、、、」と呟いていた。

そして、シャワーを浴びて仕事に行く支度をすると、いつも通り出勤した。

出勤すると、既に笹森さんが居て、俺はすぐに二日酔いにならなかったことを笹森さんに報告した。
笹森さんは「でしょ?」と言って微笑んだ。

「本当に言葉には力があるんだなぁ。笹森さん、ありがとう!」

俺がそう言うと、笹森さんは「わたしは何もしてないよ?」と言ったのだった。

そのあと、出勤時間ギリギリで伸也とヒカリが出勤して来た。
どうやら、伸也の二日酔いが酷く、連れて来るのが大変だったとヒカリは愚痴っていた。

「お前は?二日酔い大丈夫なのかよ。」
青い顔をした伸也がそう言った。

俺が「今日は全然大丈夫!むしろ体調良い!」と言うと、伸也は「マジで?!何で?!」と驚いたあと、具合悪そうに口を押さえていた。

すると、そこに笹森さんがやってきて、青い顔をする伸也に「大丈夫?二日酔い?」と心配そうに声を掛けていた。

伸也は無理やり平気そうな表情を作ると、親指を立てて見せた。


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