最期の言霊

次の日の朝。
事情が事情なだけに、総務部のハゲ課長だけには事情を話、急遽また有給を取らせてもらった。

そして、俺は入院になるのを覚悟で自分の車ではなく、タクシーで病院へ向かった。
すると、病院の正面玄関前には、既に笹森さんが待ってくれていた。

「おはよう。」
笹森さんの挨拶に「おはよう。」と返す俺。

俺たちはそのあと、受付を済ませ、すぐに診察室へ通された。

そこに居た先生は、昨日と同じ鎌田先生だった。

「お座りください。」
そう言う鎌田先生の前には、椅子が2つ用意されていた。

俺と笹森さんは椅子に座ると、先生はレントゲンをだし、ライトに照らした。

「先生、俺、何の病気なんですか?率直に教えてください。」

俺がそう言うと、鎌田先生は「では、率直に言いますね。」と言うと、難しい表情を浮かべた。

俺の手には力が入り、緊張で汗まで出てきた。

そして、鎌田先生は言った。

「スキルス胃がんです。しかも、だいぶ進行しているので、ステージ4になります。大腸の方にも転移がみられますね。」

率直に言ってくださいと言ったものの、思っていた以上に悪い結果だったことに精神的ダメージはかなり大きかった。

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