最期の言霊


俺が余命宣告を受け、入院してから1ヵ月半が経とうとしていた。
伸也からは頻繁に「見舞いに行かせろー!」とLINEが届いていた。

しかし、こんな姿を見せることは出来ず、「元気だから心配するな!」と断り続けていた。

病室から見る外の風景は、秋の終わりを告げていた。
枯れ葉は落ち、裸になった木々たちが並んで見える。
外を歩く人たちも厚手のジャンバーを着ているように見えた。

俺の命もいつまでなんだろうなぁ。

そんなことを考えていると、コンコンッと病室のドアをノックする音が聞こえた。

きっと今日も笹森さんが来てくれたんだなぁ。
そう思いながら、ふとドアの方を見ると、やはり笹森さん、、、と、横から伸也とヒカリがひょこっと顔を出したのだ。

「伸也、、、ヒカリ、、、」

驚く俺に笹森さんは「ごめんね。どうしても一緒にお見舞いに行きたいって言うから、、、。」と申し訳なさそうに言った。

すると、伸也が「お前、何が元気だから心配するなだよ!」と言い、無理に笑顔を作りながら涙を流していた。

「、、、ごめん。」
「どこが元気なんだよ、ガリガリに痩せて!暗い顔してんじゃねーか!」
「、、、ごめん。」

怒ったような口調で言う伸也を泣きながら宥めようとするヒカリ。

すると、伸也が俺の目の前に来て、俺の肩に手を置いた。

「俺たち、友達だろ?仲間だろ?何で教えてくれなかったんだよ!」
そう言う伸也に、俺は「心配かけたくなくて、、、」と言った。


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