最期の言霊

「笹森さんって、夜空が好きなの?」

夜空を見上げて歩く笹森さんに俺は訊いた。

笹森さんは「夜空がってゆうか、、、全部好きだよ。」と言うと、「太陽も雨も花も自然も人も、この街並みも、全部好き。」と続け、俺の方を向いて微笑んだ。

その微笑みに照れた俺は、自分の顔が赤くなってないか心配で、夜空を見上げて誤魔化した。

全部好き、かぁ、、、
そんなこと言う人に、初めて出会った。

大体の人には、苦手なものがある。
俺だってそうだ。

ハゲ課長は嫌いだし、岩井さんだって苦手。
虫も雨も人混みも、好きとは言えない。

笹森さんは、やはり不思議な人だ。

「ねぇ、笹森さん。今度、休みの日に出掛けない?、、、二人で。」
俺は、思い切って笹森さんを誘った。

すると、笹森さんはあっさり「いいよ。」と答えてくれた。

「本当?!」
「うん!」

心の中でガッツポーズをする俺。
奥手で彼女いない歴6年の俺、頑張った!

「じゃあ、ドライブでもどう?どこか行きたいとこある?」

俺がそう訊くと、笹森さんは少し考えたあと「神社かな。」と言った。

「え、神社?」
「うん、わたしの趣味、神社巡りなの。」

神社巡りが趣味、、、やっぱり笹森さんは不思議な人だ。
そう思いながら、「いいよ!じゃあ、神社行こうか。」と俺は言った。

嬉しそうに「うん、ありがとう。」と微笑む笹森さん。

か、可愛い、、、。
俺は、確実に笹森さんに惹かれていっていた。

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