『世界一の物語』 ~夢犬・フランソワの大冒険~
『サハラ砂漠緑化推進チャリティーコンサート』が始まった。
 露見呂嗚流とポール・マッカートニーの呼びかけに応えて、世界最高のミュージシャンが結集していた。
 ギターは、エリック・クラプトンとジミー・ペイジ。
 ドラムは、クイーンのロジャー・テイラー。
 キーボードは、ビリー・ジョエル。
 そして、ベースは、当然のことながら元ビートルズのポール・マッカートニー。
 しかし、そのことは関係者以外誰にも公表されていなかった。
 秘密のベールで包んでいたのだ。
 
 予定時刻になった。
 ステージにスポットライトが当たると、楽器を持って構えるミュージシャンの顔が見えた。
 その瞬間、予想外のことが起きた。
 静寂に包まれたのだ。
 観客は誰もが口に手を当てていた。
 信じられないというような顔をしていた。
 しかし、次の瞬間、悲鳴のような歓声が上がり、一気に爆発してステージに押し寄せてきた。
 すると、それに呼応したロジャー・テイラーがスティックでカウントを叩き出し、イントロが始まった。
 
 
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