『世界一の物語』 ~夢犬・フランソワの大冒険~
 ピアノが、ビル・エバンス。
 サックスが、ジョン・コルトレーン。
 ベースが、ポール・チェンバース。
 そして、ドラムが、ジミー・コブ。
 なんと、1959年のレコーディング・メンバー全員がステージの上にいた。
 観客は誰も身動きせず、ただ演奏に酔いしれていた。
 美しい演奏だった。
 静かに、しかし時として激しく、魂を揺さぶる演奏だった。
 余りの素晴らしさに観客は皆ポカンと口を開けていた。
 
 全5曲の演奏が終了した時、マイルス・デイヴィスが手を上げて微笑んだ。
「じゃあ、そろそろ帰るよ」
 そう言い残して、あの世に戻っていった。

 彼の消えゆく姿を見送っていたポール・マッカートニーがマイクを掴んだ。


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