『世界一の物語』 ~夢犬・フランソワの大冒険~
 その日は放課後になるのを待ちかねて、図書館に駆け込んで絵本を借りたの。
『白い犬の大冒険』
 表紙いっぱいに真っ白い毛の可愛い犬が描かれていたから、ぴったりだと思ったの。
 
 早く読みたくて急いで家に帰ったんだけど、でも読まなかったの。
 読んで夢が変わってしまったら大変だからって気がついたからなの。
 
 それからあとはひたすら夜になるのを待ったの。
 晩ご飯が終わると、歯磨きをして、早めにベッドに入ったの。
 そして、借りた本を胸に抱いたの。
 でも、どんな白い犬が出てくるかわからないから、頭の中でタイトルを変えたの。
『フランソワの大冒険』って。
 これで準備はOKよ。
 あとは目を瞑るだけ。
 サン、ニー、イチ、
 目を瞑ったら、雲に乗ってエベレストの方へ向かっているフランソワが見えたの。
 私は嬉しくなって「待って~」って手を振ったの。
 すると、あっという間に雲に到着してフランソワの横に並んでいたの。
 また嬉しくなって、「どこに行くの?」って訊いたら、「それはね、これからのお楽しみだよ」だって。
 そういうことだから、続きはまた今度ね。

 see you





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