『世界一の物語』 ~夢犬・フランソワの大冒険~
 搾りたてのフレッシュジュースが二人の前に運ばれた。
 椙子にはオレンジを、呂嗚流にはグレープフルーツを。
 そして、今朝敷地内で採れたばかりの新鮮な野菜が彩り鮮やかに皿に盛られて運ばれてきた。
 
 椙子は真っ赤に熟したプチトマトを一つ口に入れた。
 呂嗚流はレタスにレモンを絞り、それを音を立てて食べ始めた。
「食物繊維がいいんだよね」
 独り言に頷きながら、なおも豪快に食べ続けた。
「黒トリュフのスクランブルエッグでございます」
 パンプキンスープと見間違うようなペースト状になったスクランブルエッグに黒トリュフがアクセントをつけていた。
「おいしいわね。それに、トリュフの香りがたまらないわ」
 椙子の顔が綻んだ。
 
 それを食べ終えると、メインが運ばれてきた。
 椙子の前にはサーモンステーキが、呂嗚流の前にはシャトーブリアンのレアステーキが置かれた。
 それぞれに自家製朝採れ野菜のソテーが添えられていた。
 
 デザートはフルーツヨーグルトだった。
 勿論、椙子にはオレンジを、呂嗚流にはグレープフルーツが運ばれてきた。
 
 食後に、椙子はストレートティーを、呂嗚流はエスプレッソを口に運んだ。
 飲み終わってリビングに移動した椙子に、呂嗚流が話しかけた。
 
 
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