『世界一の物語』 ~夢犬・フランソワの大冒険~
「しめしめ」
 二人を見つめる軽子がほくそ笑んだ。
 しかし、すぐに恐ろしい顔になって、「仕返ししてやる!」と吠えた。

 気絶したフランソワを家に運び込むと、ロープで体をぐるぐる巻きにして、両手で抱きかかえてプールサイドまで行き、ニヤリと笑った。
「お前とは二度と」
 フランソワを右手だけで抱えて、左手で排水溝のハッチを開けるボタンを押した。
 すると、直径2メートルのハッチが全開になり、プールの水が音を立てて渦になって吸い込まれていった。
 
「さようなら」
 永遠の別れを告げた軽子がフランソワを放り投げると、水しぶきを上げてプールの中に落ち、体がくるくる回り出した。
 そして、排水溝に吸い込まれていった。
 渦と共に去りぬ!
 軽子が合掌した。
 その時、いきなり場面が変わり、豪華な部屋で鏡に向き合っている大男が現れた。
 異様な姿をしたそいつは……、


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